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EMGマーク7をメインとした蓄音器ミュージアム

実際にあった症例

館内施設イメージ


先日、老人の方から予約が入り、お見えになりました。ある大学病院で、難聴と診断を受け、大学病院に来ている補聴器業者を紹介され、補聴器を両耳装着し何回か調整したが良く聞こえないので、耳鼻科医に相談したところ、また別の業者を紹介され別の補聴器を両耳購入した。しかしこの補聴器も良く聞こえず何回も調整したが聞こえは良くならず、再度、耳鼻科医に相談に行ったところ、貴方の耳自体が悪いので、どの補聴器を使用しても同じですよ、と言われた。しかし本人としては納得がいかず、もっと良い補聴器があるのではないかと思い、他の補聴器店にも出向き相談したが良く聞こえる補聴器には出会えず、さらに、いろいろ情報を集めていたところ、知人から補聴器フィッテイング研究所の存在を知り来所されました。これで駄目なら諦めますと言われていました。そこで、聴力検査をし、耳に合いそうな補聴器を調整して装着してもらいました。装着した途端に、表情が笑顔になりました。わー良く聞こえますよ。私の耳ではなく、やっぱり補聴器が悪かったのですよね!諦めないで良かったです、と大変喜ばれました。この症例には、いろいろな問題が隠されています。今の補聴器販売の現状はこのようなものではないでしょうか?当補聴器フィッテイング研究所は難聴者に良く聞こえる補聴器を提供することを目的に昭和60年4月に開設しました。今では日本全国から更に良く聞こえる補聴器を求めて来所されています。従って、今使用している補聴器に満足している方は必要ありませんが、今使用している補聴器に満足していない方は是非一度、来所して見ては如何でしょうか?更に良く聞こえる補聴器に巡り合えるかもしれません。

当研究所は店にはなっていません。


一般的な補聴器販売店と異なり、店にはなっていません。マンションの一室に必要な機材を配置し、殆どが口コミで来店されています。下の地図は当研究室で補聴器を調整した方の住んでいる場所の分布図です。北は宗谷から南は与論島まで、ほぼ全国に分布しています。いわば補聴器調整の駆け込み寺と言ったところです。店になっていない関係で来所は必ず電話かメールで日時の予約をしてからお出かけ下さい。







補聴器はメーカーによって音質が異なる。


当研究所に初診で来られ、既にB社の補聴器を装着されている方100人に、当社で調整したA社の補聴器をその場で試聴してもらった結果、A社の補聴器の方が音が良く、言葉が良く聞こえると訴えた方が100人中100人でした。それほど補聴器はメーカーによって音質が異なるものなのです。従って現在使用している補聴器の音が耳に合わない場合にはそのメーカーの補聴器の中で機種を選択するよりも、別のメーカーの補聴器を試聴することをお勧めします。

補聴器フィテイング研究所設立の経緯。


私は小さい頃、自宅に祖父所有のビクトローラVV1-90型卓上蓄音機があり、私が5歳位の頃、姉が毎日のようにゼンマイを巻いてレコードを聞かせてくれていました。また父はステレオに凝って、自宅にはマッキントシュのアンプやタンノイ、JBLのスピーカ等がありました。私が中学生の頃、よく父に頼まれて、どちらのスピーカの音が良いか聞き比べをさせられたものでした。こちらのスピーカの方が音の抜けが良いとか、楽器の音像がリアルであるとか、その頃から耳を鍛えられてきました。音に興味を持ち始め、高校に入学すると直ぐにブラスバンドに入りトランペットを吹きました。[ラッパ吹きの休日]で入賞したことを今でも思い出します。音に興味を持っていた私は、大学で音響学を勉強したいと思うようになりました。昭和43年頃でしたから音響専門の研究所が未だ少なく調べると国分寺に財団法人・小林理学研究所が見つかりました。早速そこと関連のある大学に入学し、4年生の時に室内音響研究室の子安勝研究室に配属になりました。私の研究テーマは全てが非平行な壁や床や天井の部屋における音の周波数特性と、残響時間の平均化でした。また小林理研で研究したものを製品化するために敷地内にB株式会社がありました。ある日、B社の補聴器担当の技術者が引き抜かれたために一人補充と言うことで小林理研に声が掛かり、私が担当することになった訳です。初めの1年間は研修と言うことで新宿にあるB社のセンターで補聴器の修理を担当しました。その当時は殆どが未だ箱型補聴器の時代でした。プリント基板に抵抗やコンデンサ・トランジスターがハンダ付けされておりテスターで電圧や電流をチェックし壊れた部品を交換していきます。そんなある日、舶来(A社)の箱型補聴器が修理に紛れ込んで来たのです。修理要員は常時3人おりましたが、たまたま私の所にその補聴器は運ばれて来ました。幸い、その補聴器の故障はコードの断線だけでした。差し込みプラグは日本の物と互換性があるため、コードを交換し音を聞いてみました。今まで約1年位、補聴器の修理を担当して来ましたが、B社の補聴器以外聞いたことがありませんでした。そして、このA社の補聴器を聞いた時に鳥肌が立ちました。私は補聴器のメーカーが変わっても、音はどのメーカーも皆同じような音だろうと思っていました。補聴器の音というと、金属的で機械音、ザーザーという内部雑音が大きく2〜3メートル離れた人の声が雑音に埋もれてしまいます。しかしこのA社の補聴器はザーザーと言う内部雑音がスースーという小さな雑音になっており5メートル位離れた人の声が良く聞こえ、しかも音が柔らかく自然音に近く聞こえるのです。この時に私は思いました。難聴者に良く聞こえる補聴器を提供し、良く聞こえるように調整してあげる仕事をしようと。そして、2年間で補聴器修理の研修は終了し、また小林理研に戻ることになりました。そのころは補聴器の調整方法が未だ確立していなかったこともあり参考になる補聴器の調整法が発表されていませんでした。そこで昭和50年〜60年の10年間、私は臨床例から役に立つ補聴器の調整方法を学会に発表しました。その後昭和60年4月に民間としては初めて補聴器フィッテイング研究所を開設し今年で32年目になります。今では日本全国から口コミで難聴者が来所されています。店にはなっておりませんので、来所される際は、必ずメールか電話で予約をしてからお出かけ下さい。

補聴器フィッテイング研究所の所在地


横浜の研究所
  〒245−0063 神奈川県横浜市戸塚区原宿 3−27−12
       п@09018822011  
    メールアドレス watanabe@emgmark7.com
東京の研究所
  〒169−0051 東京都新宿区西早稲田 2−1−26プチメゾン戸山207
       п@09018822011
秋田の研究所 
  〒018−5701 秋田県大館市扇田字扇田423 たっこ森 秋田でんろく
       п@0186−55−3702

それぞれ最寄りの研究所にご連絡ください。

1989年1月 HEARING INSTRUMENTSに発表した内容(原文のまま)


この論文は、かつてデンマークのエリクスホルム音響研究所の所長であったリーラガールが補聴器調整の理論である、POGO方式を発表され、それを受けて、補聴器フィッテイング研究所ではこの理論を実際の難聴者約120人に実施し、その効果を臨床例から考察したものです。当時は日本の学会に発表の予定でしたが、中村賢二先生から発表の前にリーラガールに論文の内容に関して意見を伺っておいた方が良いと言うご助言を頂き、直ぐにデンマークのエリクスホルム音響研究所に臨床例のデータを持って伺いました。1例1例をリーラガールに説明して行き、全体の傾向と理論に合致しなかった周波数とその理由と結論を説明し終わった時に、リーラガールは私に握手を両手で求めて来て[パーフェクト][パーフェクト]と連呼されました。この論文は是非、アメリカの[ヒヤリング・インスツルメント]に投稿しなさい、と言う助言を頂きました。しかしヒヤリング・インスツルメントは聴覚では一番権威のある書籍で、かつての論文を見ても、教授・博士の肩書の方による発表ばかりです。私のように肩書の無い人の投稿など掲載される筈はないと思い、リーラガールに共同研究と言うことで連名を申し出ました。しかし、リーラガールは、私は一切この研究には関わっていないので、連名は相応しく無いと断られました。リーラガールは更に言われました、肩書で原稿が採用されるのではなく、論文の内容で採用が判断されるのですと。しかし、協力はします、最後の論文の校正はしましょう、と言う話になり日本人としては初めての論文の発表が叶いました。
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補聴器の調整に関わる主な研究論文


昭和50年 1975年 日本音響学会講演論文 P441~442  
     現実音に対する方向判断―裸耳と補聴器装用耳との比較―
        渡邉治雄 子安 勝 小見茂光 中村俊一 (小林理学研究所)
昭和50年 1975年 Audiology Japan Vol18、No6 P511
   聴覚障害幼児に対する補聴器の適用について
       渡邉治雄 金山千代子 (小林理学研究所)今井秀雄(国立特殊教育研究所)
昭和51年 1976年 Audiology Japan Vol19 No6 P643
   聴覚障害幼児の音声言語受容に際し示される視覚・聴覚間の優位性について
      金山千代子 渡邉治雄 (小林理学研究所) 今井秀雄(国立特殊教育研究所)
昭和51年 1976年 Audiology Japan Vol19 No6 P441
   高出力補聴器の補聴効果について
      渡邉治雄 (小林理学研究所) 今井秀雄 (国立特殊教育研究所)
昭和51年 1976年 Audiology Japan Vol19 No6 P443
   衝撃音に対する補聴器の対応 
      谷 善行 岡本途也 (昭和大学) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
昭和52年 1977年 Audiology Japan Vol20 No5 P555
   聴覚障害児の音声言語受容に際し示される視覚・聴覚の優位性について(その2)
      金山千代子 渡邉治雄 (小林理学研究所) 今井秀雄(国立特殊教育研究所)
昭和52年 1977年 Audiology Japan Vol20 No5 P541
   高度難聴児に対する音声圧縮型お補聴器の補聴効果について
      渡邉治雄 金山千代子 (小林理学研究所) 今井秀雄(国立特殊教育研究所)
昭和53年 1978年 Audiology Japan Vol21 No5 P627
   高度難聴児の語音理解に関する研究
      渡邉治雄 金山千代子 (小林理学研究所) 今井秀雄(国立特殊教育研究所)
昭和53年 1978年 Audiology Japan Vol21 No5 P611
   純音閾値と会話能が一致しない難聴2症例
      鈴木 悟 岡本途也 (昭和大学) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
昭和53年 1978年 Audiology Japan Vol21 No5 P563 
   感音性難聴耳におけるOtoadmitance Meter の検査所見
      喜多村 健(国立病院医療センター) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
昭和53年 1978年 Vol21 No5 P549
   FM補聴器の使用経験
      今井秀雄 菅原廣一 (国立特殊教育研究所) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
昭和54年 1979 Audiology Japan Vol22 No5 P433
    イヤホン調整を主とした補聴器の適用
                   渡邉治雄 金山千代子 (小林理学研究所)
昭和55年 1980年 Audiology Japan Vol23 No5 P557
    子どもの補聴器適用に関する諸問題
                   渡邉治雄 金山千代子 (小林理学研究所)
昭和55年 1980年 Audiology Japan Vol23 No5 P575
    難聴者の使用状態における補聴器の特性
      松井和夫 岡本途也 (昭和大学) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
昭和55年 1980年 日本科学教育学会  P169〜170
    難聴幼児の補聴器適用プログラム
                   渡邉治雄 金山千代子 (小林理学研究所)
昭和56年 1981年 Audiology Japan Vol24 No5 P431 
         補聴器を装用した高度難聴児の耳小骨筋反射の継時的観察例について
      岡本和人 岡本途也 (昭和大学) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
昭和56年 1981年 Audiology Japan Vol24 No5 P447
    普通学級におけるFM補聴器の利用
       高橋信雄 今井秀雄(国立特殊教育研究所) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
昭和56年 1981年 Audiology Japan Vol24 No5 P449
    補聴器のイヤホン選択に関する研究
       鈴木 悟 岡本途也 (昭和大学) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
昭和56年 1981年 Audiology Japan Vol24 No5 P459
    補聴器における出力制限装置の調整について −問題点とその対策―
                   渡邉治雄 金山千代子 (小林理学研究所)
昭和56年 1981年 Audiology Japan Vol24 No5 P443
    神奈川県ろうあセンターにおける補聴器の調整法―新しいイヤーフックの使用効果について
      岩崎友子 (神奈川県ろうあセンター) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
昭和57年 1982年 Audiology Japan Vol25 No5 P409
    補聴器フィッテイングシステムTR60の使用
      下野智子 岡本途也 (昭和大学) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
昭和57年 1982年 Audiology Japan Vol25 No5 P405
    補聴器における出力制限装置の調整について(その2)
              渡邉治雄 (小林理学研究所) 岡本途也 (昭和大学) 
                      岩崎友子 (神奈川県ろうあセンター)
昭和58年 1983年 Audiology Japan Vol 26 No 4 P 361
    補聴器フィッテイングシステムTR60使用による適合状態の調整について
      杉内智子 岡本途也 (昭和大学) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
昭和59年 1984年 Audiology Japan Vol27 No 5 P 531
    実耳の裸耳利得(Open ear gain) と挿入利得(Insertion Gain)における個体差 詳細ページへ Go
            渡邉治雄 (小林理学研究所) 岡本途也 (昭和大学)
昭和59年 1984年 Audiology Japan Vol 27 No 5 P 549
    高度難聴者に対する耳掛形補聴器の適用  詳細ページへ Go
         岩崎友子 (神奈川県ろうあセンター) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
昭和61年 1986年 Audiology Japan Vol 29 No 5 P 585
    カナル・カスタム形補聴器の現状と問題点(その1)アンケート調査より
         小川 郁 神崎 仁 (慶応大学) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
昭和61年 1986年 AUDIOLOGY JAPAN VOL 29 No 5 P587
    カスタム・カナル形補聴器の現状と問題点―不適合例の検討
                渡邉治雄 (小林理学研究所) 神崎 仁 (慶応大学)
昭和61年 1986年 AUDIOLOGY JAPAN  VOL 29 No 5 P 591
    カナル・カスタム形補聴器におけるフィッテイングの一方法
         岩崎友子 (神奈川県ろうあセンター) 渡邉治雄 (小林理学研究所)
平成元年  1989年 AUDIOLOGY JAPAN VOL 32 No 5 P 311
    カスタム補聴器と耳掛け形補聴器との比較 詳細ページへ Go
               渡邉治雄 (小林理学研究所) 神崎 仁 (慶応大学)
                       岩崎友子 (神奈川県ろうあセンター)
平成元年 1989年 HEARING INSTRUMENT Vol40 No1 P 11〜16 USA
    Relation between hearing threshold level and preferred insertion gain
HARUO WATANABE(Hearing Aid Fitting Center)
平成2年 1990年 AUDIOLOGY JAPAN Vol 33 No 5 P 663
    耳掛け形補聴器の1KHz付近の特性が適合していないと思われる患者の訴えとそ
          の補聴器の出力調整について 詳細ページへ Go
              渡邉治雄 (小林理学研究所) 神崎 仁 (慶応大学)
平成2年 1990年 Audiology JAPAN Vol 33 No 5 P665
    130dBスケールアウトの症例に見られた電話の聴取能力
             岡本途也 (昭和大学) 金山千代子 (小林理学研究所)
                    渡邉治雄 (補聴器フィッテイング研究所)
                    今井秀雄(国立特殊教育研究所)

補聴器の調整に関わる主な出版物


昭和59年 発行 ベターコミュニケーション研究会 P 189〜224
     Center SuvagにおけるVervo Tonal Method 
         (視察報告)
渡邉治雄 (補聴器フィッテイング研究所)
昭和61年 発行 補聴器フィッテイング研究所
    補聴器フィッテイング理論と耳掛形補聴器のフィッテイング
                   渡邉治雄 (補聴器フィッテイング研究所)
平成3年 発行 学苑社  聴覚障害の診断と指導  第4巻
    第3章 補聴器フィッテイングの基礎
                   渡邉治雄 (補聴器フィッテイング研究所)
平成9年 発行 南山堂  耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
     Z  耳鼻咽喉科領域のリハビリテーション医学   3章  補聴器 
             P 435〜447
                   渡邉治雄 (補聴器フィッテイング研究所)
平成13年 発行 分光堂   耳鼻咽喉科診療プラクティス  P114〜115
     デジタル補聴器のフィッテイング
                   渡邉治雄  (補聴器フィッテイング研究所)



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